第二段。
真夜中…闇に包まれた道を一台の車のライトが照らしている。
人通りは全くない、車さえもほとんど通らない辺鄙な道……その脇に停車し、エンジンをかけたまま運転席の男はぼんやりと月を眺めていた。
「もう……ダメだよ。別れよう」
数日前に彼女から告げられた言葉が何度も頭をよぎり、その光景が今の出来事のようにリアルに感じられる。
惹かれ合うのが突然ならば、冷めるのも突然やってくる。俺は冷め始めてたんだよ…『きっとそうなんだ』という結論をもう何十回自分の中で出しただろうか。
奇妙な結論なのは自分自身、混乱しているのが良くわかっているし、またわかっていても冷静になることなど今は無理だということもわかっているからこそその結論で納得できた。
「冷めてたんだよ……」
自分自身に言い聞かせるように呟く… …
「そうか?」
唐突に助手席から声が聞こえた。車には一人のはずだ。
空耳でも聞こえるようになったかなとそちらに目をやると、金髪で端正な顔立ちの男が足を組んで座っている。
そんなバカな……ドアの開く音、それに気配さえもなかった。隣に乗り込むまで気づかないほどぼんやりしていたんだろうかと自分の意識の危うさを疑ったが…こうして目にしているこの瞬間も妄想か何かと話してるかと思うほど「何かがいる気配」というものがなかった。
「じゃあ、戻れるとしたら?出会ったころに」
目にかかる金髪を指でつまみながらさらっと男がいう。
この数時間、何度も想像したことだった。ばかげてるとわかっていながら考えてしまうことだった。
「俺は時の番人だ。信じる信じないはお前の勝手だけどな。もし、戻りたいとお前が望むなら戻してやるぜ?」
心の奥深くに隠していた気持ちが沸き起こる。もう一度……やり直せるだと……
「ただ! 俺が選んだのはお前じゃない、彼女だ。だから詳しく説明なんてしないし、お前には選択肢も決断する時間も多くはないぜ」
「さぁ、どうすんだ」
金髪の男の生気の全くない、冷たい目が男を見つめる。
「戻してくれ……もう一度……出会った頃に。同じ過ちを……次こそ繰り返さない」
途切れ途切れに、しかし力強く男は言った。
「よし、契約完了だ。魂の契約により、時は遡る」
その刹那、あたりは光に包まれ何も見えなくなり意識は遠のく。
雪の降る街……
そうだ……この日、友人達と遊んだときに出会ったんだ……
彼女がいる。記憶どおりの光景、行動、会話。
だが、何だこの違和感は。「何か」が変だ。どこを探しても記憶と同じはずなのに……
何だ、この不思議な感覚は。
男は懸命に頭を働かせ、あたりを見回し原因を探した。
そして……気づいた……
自分がいない。その場に自分がいない。
光景は見えてはいるが、男の存在はなかった。カメラで見ているかのようにぼんやりと眺めているだけ。
「なんだこれは……」
そう言うと、また金髪の男がふっと隣に現れこう言った。
「自分がいなくて不思議か?彼女が望んだのはお前と出会った頃に戻ること。それは間違いない。ただ……」
「戻る理由は『お前と出会わなかったら』というためにだ。そして俺は時を戻す対価として、お前の魂をもらっていくのさ」
真夜中…闇に包まれた道を一台の車のライトが照らしている。
人通りは全くない、車さえもほとんど通らない辺鄙な道……その脇に停車し、エンジンをかけたまま運転席の男はぼんやりと月を眺めていた。
「もう……ダメだよ。別れよう」
数日前に彼女から告げられた言葉が何度も頭をよぎり、その光景が今の出来事のようにリアルに感じられる。
惹かれ合うのが突然ならば、冷めるのも突然やってくる。俺は冷め始めてたんだよ…『きっとそうなんだ』という結論をもう何十回自分の中で出しただろうか。
奇妙な結論なのは自分自身、混乱しているのが良くわかっているし、またわかっていても冷静になることなど今は無理だということもわかっているからこそその結論で納得できた。
「冷めてたんだよ……」
自分自身に言い聞かせるように呟く… …
「そうか?」
唐突に助手席から声が聞こえた。車には一人のはずだ。
空耳でも聞こえるようになったかなとそちらに目をやると、金髪で端正な顔立ちの男が足を組んで座っている。
そんなバカな……ドアの開く音、それに気配さえもなかった。隣に乗り込むまで気づかないほどぼんやりしていたんだろうかと自分の意識の危うさを疑ったが…こうして目にしているこの瞬間も妄想か何かと話してるかと思うほど「何かがいる気配」というものがなかった。
「じゃあ、戻れるとしたら?出会ったころに」
目にかかる金髪を指でつまみながらさらっと男がいう。
この数時間、何度も想像したことだった。ばかげてるとわかっていながら考えてしまうことだった。
「俺は時の番人だ。信じる信じないはお前の勝手だけどな。もし、戻りたいとお前が望むなら戻してやるぜ?」
心の奥深くに隠していた気持ちが沸き起こる。もう一度……やり直せるだと……
「ただ! 俺が選んだのはお前じゃない、彼女だ。だから詳しく説明なんてしないし、お前には選択肢も決断する時間も多くはないぜ」
「さぁ、どうすんだ」
金髪の男の生気の全くない、冷たい目が男を見つめる。
「戻してくれ……もう一度……出会った頃に。同じ過ちを……次こそ繰り返さない」
途切れ途切れに、しかし力強く男は言った。
「よし、契約完了だ。魂の契約により、時は遡る」
その刹那、あたりは光に包まれ何も見えなくなり意識は遠のく。
雪の降る街……
そうだ……この日、友人達と遊んだときに出会ったんだ……
彼女がいる。記憶どおりの光景、行動、会話。
だが、何だこの違和感は。「何か」が変だ。どこを探しても記憶と同じはずなのに……
何だ、この不思議な感覚は。
男は懸命に頭を働かせ、あたりを見回し原因を探した。
そして……気づいた……
自分がいない。その場に自分がいない。
光景は見えてはいるが、男の存在はなかった。カメラで見ているかのようにぼんやりと眺めているだけ。
「なんだこれは……」
そう言うと、また金髪の男がふっと隣に現れこう言った。
「自分がいなくて不思議か?彼女が望んだのはお前と出会った頃に戻ること。それは間違いない。ただ……」
「戻る理由は『お前と出会わなかったら』というためにだ。そして俺は時を戻す対価として、お前の魂をもらっていくのさ」
この記事へのコメント
いやん、彼女のダーティな一面(*/ω\*)
玖堂 匡介 | URL | 2008/05/24/Sat 11:15 [EDIT]
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