やー、こんなのも昔は書いてたんだなぁという、初心忘れるべからずな自分への備忘記録。
闇の世界に生きる青年がいた。
彼は生まれつき目が見えない。昼も夜も、この世に誕生して以来彼は闇の中で生き、闇と共にある。しかし彼の心は闇に支配されることなく、真っ直ぐで光に照らされている。何度も闇に支配されそうになったとき、闇を払いのけ退けたのは彼の友人であり、大切な人だった。彼の心が素晴らしい友人を引き寄せ、また暖かい友人達が彼の心を形成したのだと思う。
彼は大切な人の顔を知らない。どんな顔をしているのだろうと思うことは稀にあったが彼女の心を心底愛しており、いつも「まぁいいさ」という結論に達し微笑を浮かべるというパターンだった。
彼女のほうも彼のハンデに負けることのない強い心と明るい性格を深く愛していた。
二人は幸せだった。一緒に過ごす時間を大切にし、笑いあい共に生き、時には喧嘩もしながら永遠とも思える時を送った。
ある日の夜……
寝ている彼の側に「何か」が立っていた。
見えるはずのない彼の目に映る「何か」
神秘的で…慈愛に満ちているようでどこか影をもつその「何か」
驚きと戸惑いに支配される彼を見ると「何か」は不思議な声で語りかけた。
『あたなは今までよく頑張ってきました。それに報いるべく、失った光を与えましょう』
「え……」
理解できなかった。あまりに突然で言葉の意味が全く理解できなかった。
『あなたの目は全てを見通す。その目の光を遮るものは何一つないでしょう』
そう言い放つや否や眩いばかりの光の渦に包まれるようにして「何か」は消えてしまった。
あたりに広がる静寂……
それをかき消すように彼の声が響き渡った。
「うわぁぁぁぁぁ!」
(見える!)
真っ暗な闇はもうない。電気さえ灯ってないこの部屋でも昼間のようにはっきりと「見える」。
「おっ、おい! 起きて!」
隣で寝ていた彼女をゆすって起こす。この幸運を共に喜びたい、分かち合いたい。
よくわからないまま説明に、理解に、溢れんばかりの幸せに二人は抱き合い語り明かした。
数日後……
彼の目は見えていた。全く不自由することなく、今まで触れることしかできなかった物が見えていた。
だが……少し異変があった。
「見える」のはそれだけではなかったのである。
出かけ、離れたところにいる彼女が彼には見えた。少し意識するだけで彼女や周りの風景が隣にいるかのごとく見えるのである。
音はない……壊れたテレビのように鮮明な画像とは対照的に物音一つない世界……
「見える」と涙して喜んだはずの彼の心に「見る」ことの恐怖が芽生えた。彼女の行動への勘違いからの「嫉妬」。信じているにも関わらず抑えることができない湧き上がる嫉妬心。
お互いを愛するからこその喧嘩が増えた。今までなかったような理由の喧嘩ばかりする日々。
このままでは彼女を深く傷つけてしまう……
「俺のこの目がダメなんだな……」
そう呟くと彼はその手に硬く握り締めた錐を……
闇の世界に生きる青年がいた。
彼は生まれつき目が見えない。昼も夜も、この世に誕生して以来彼は闇の中で生き、闇と共にある。しかし彼の心は闇に支配されることなく、真っ直ぐで光に照らされている。何度も闇に支配されそうになったとき、闇を払いのけ退けたのは彼の友人であり、大切な人だった。彼の心が素晴らしい友人を引き寄せ、また暖かい友人達が彼の心を形成したのだと思う。
彼は大切な人の顔を知らない。どんな顔をしているのだろうと思うことは稀にあったが彼女の心を心底愛しており、いつも「まぁいいさ」という結論に達し微笑を浮かべるというパターンだった。
彼女のほうも彼のハンデに負けることのない強い心と明るい性格を深く愛していた。
二人は幸せだった。一緒に過ごす時間を大切にし、笑いあい共に生き、時には喧嘩もしながら永遠とも思える時を送った。
ある日の夜……
寝ている彼の側に「何か」が立っていた。
見えるはずのない彼の目に映る「何か」
神秘的で…慈愛に満ちているようでどこか影をもつその「何か」
驚きと戸惑いに支配される彼を見ると「何か」は不思議な声で語りかけた。
『あたなは今までよく頑張ってきました。それに報いるべく、失った光を与えましょう』
「え……」
理解できなかった。あまりに突然で言葉の意味が全く理解できなかった。
『あなたの目は全てを見通す。その目の光を遮るものは何一つないでしょう』
そう言い放つや否や眩いばかりの光の渦に包まれるようにして「何か」は消えてしまった。
あたりに広がる静寂……
それをかき消すように彼の声が響き渡った。
「うわぁぁぁぁぁ!」
(見える!)
真っ暗な闇はもうない。電気さえ灯ってないこの部屋でも昼間のようにはっきりと「見える」。
「おっ、おい! 起きて!」
隣で寝ていた彼女をゆすって起こす。この幸運を共に喜びたい、分かち合いたい。
よくわからないまま説明に、理解に、溢れんばかりの幸せに二人は抱き合い語り明かした。
数日後……
彼の目は見えていた。全く不自由することなく、今まで触れることしかできなかった物が見えていた。
だが……少し異変があった。
「見える」のはそれだけではなかったのである。
出かけ、離れたところにいる彼女が彼には見えた。少し意識するだけで彼女や周りの風景が隣にいるかのごとく見えるのである。
音はない……壊れたテレビのように鮮明な画像とは対照的に物音一つない世界……
「見える」と涙して喜んだはずの彼の心に「見る」ことの恐怖が芽生えた。彼女の行動への勘違いからの「嫉妬」。信じているにも関わらず抑えることができない湧き上がる嫉妬心。
お互いを愛するからこその喧嘩が増えた。今までなかったような理由の喧嘩ばかりする日々。
このままでは彼女を深く傷つけてしまう……
「俺のこの目がダメなんだな……」
そう呟くと彼はその手に硬く握り締めた錐を……
この記事へのコメント
痛いっ(ノ><)ノ
玖堂 匡介 | URL | 2008/05/24/Sat 11:13 [EDIT]
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