28:告白

ペースをキッチリと上げていきたいと思いますっ。
あとから見ると自分の頑張り度って低いんですよねー。
もっと頑張れる!うん、そうだ!



 すでに直前まで迫ってる璃瑠黒衣に対し、目を細め苦笑いで迎える双葉。
「まったく……相変わらず回避なんて即却下の反則なスピードだ。早すぎるだろう、ばーか」
 いくら心の中で苦情を言ってみたところで凶器と化している風が減速するはずもないが、そんなささやかな抵抗の一つもしたくなる速度であることは間違いなかった。
 とはいえ、このまま何もせずぼーっとしていたのでは、跡形なく消し去られてしまうのは確実……いや、腕だけ残ったりするよりかは全部サッパリと持っていかれたほうがスッキリする。スッキリ感はいいとして物語が終わってしまっては困るし、さらに諦めるような性格ではない双葉が素直に抵抗もせず、シズナの思い通りになるはずもなかった。

 ガラスが砕け散ったような音とともに青い閃光を放っていた魔方陣が割れ、重力に囚われない動きで空中に拡散する。破壊されたのではなく、自壊である。同心円とその内側に引かれる直線で描かれる魔法陣の、我々では判読不明な文字も決して模様などではなく、それぞれが意味を持つ“失われた言葉”であり、その文字によって魔法陣の効力が決定される。
 つまり、一枚ぽんっと出しておけば攻撃と防御、ハトを出してみたり瞬間移動してみたり、どこぞの魔王が飛び出てきたり石っころが金に変わったりと万能な働きが出来る訳ではない。
 とにかく今の状況において双葉は攻撃用として形成した魔法陣を捨て、即座に璃瑠黒衣を防ぐためのものを作り出したのであった。

飲み込まれる。

 双葉に迫る黒風の効果を伝えようにも一言発しただけで全てが終わってしまう一瞬。地面にうつ伏せになりその光景を見つめる伊吹の黒い瞳と、何度か見せている扇子を肩にパシっと打ち付ける仕草をするシズナの赤い瞳は、次に起こるであろう不本意ながらも一致した映像を映し出す準備をしていたに違いない。
 そしてそれは無常にも、お堅い会議のごとく予定通り進行したのである。
 いや、防御壁など存在せぬものとして猛進するはずの璃瑠黒衣が、僅かながらバチっという独特な効果音を打ち鳴らし速度を落としたように見えたハプニングはあったが、それも砂煙を巻き上げただけで闇は双葉を完全に覆いつくしてしまった。

「双葉ーーーっ!!」
「相方の心配するより、恐れ多くもシズナに触れた自分が逃げることを考えたほうがいいろ?」

 見下し攻撃的な視線を送るシズナの顔には、この一瞬だけを見れば無邪気な子供と誤解する者もいるかもしれない笑みが溢れ、たった今一人を消し去ったことも彼女にとっては“何でもない日常の出来事”なのだろう。
 それは伊吹も同じであった。ヴァンパイアを始末する、仲間を失う。幾度となく経験し、冷静さを失っては不利だということも十分理解している。
 しかし今回は不利であろうが何であろうが抑えられそうにない衝動が体中を駆け巡っていた。勝利への作戦も、璃瑠黒衣を打ち破る方法もない。
 ただ、もう一発くらい渾身の一撃を浴びせてやらなければ、次双葉に会ったときにチクチクと文句を言われそうだという思いが伊吹によぎる。

「覚悟しろよ、お前? そりゃ双葉はちっこくて、凶暴で、わがままで、とんでもなく負けず嫌いだったけどよ。でも……」
「伊吹……、お前から消してやろうか。うん、それがいいな」
「!?!?」

 飲み込まれたと思われた寸分違わぬ同じ場所には、いつもの二つに結んだ金髪はリボンが解けて髪型は変わってしまい頭には砂埃を大量に被ってはいたが、先ほどまでとは別方向に怒りを向けた双葉が目を吊り上げ伊吹をにらみつけていた。

テーマ : 自作小説(ファンタジー) - ジャンル : 小説・文学
この記事へのコメント
よおぉぉぉぉおし!!! 反撃だあぁぁぁぁあああ!!!
いき♂ | URL | 2008/04/22/Tue 01:32 [EDIT]
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| | 2008/04/25/Fri 11:22 [EDIT]
>いき♂サマ
GONG鳴らせ!!

>非公開サマ
何かの誤りだと思いますっ。
兎和 | URL | 2008/04/27/Sun 05:52 [EDIT]
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