26:狂気nd

不調ダー!
そんなときは過去の宝物イラストを見て元気をもらおうっ(笑)
ぽてぽてとUPですー、へろへろ。



 二人の間に障壁は既に無く、そのまま突進していれば伊吹の一撃が外見からは想像できない凶暴さを秘めたシズナに届いたであろう。だがそうはしなかった。
 もちろん高圧的に見えがちなシズナの表情に威圧された訳でも、こんな能力があるぞと無意味な自己アピールをするために飛び込んでいったのではない。お互いの全力を出し合って勝負を繰り広げるのは別のプロスポーツか何かの役目であり、双葉たちは短い時間で一方的なつまらない展開であればあるほど良いのである。
 シズナは危険だ。理由などどうでもいい、伊吹の中に反対する者はおらず、満場一致でその結論を支持していた。だからこそ一撃で致命的なダメージを与えるために、伊吹はほんの僅かな時間をその準備に使ったのであった。

 伊吹の右手の紋章が輝きを増し、両腕の肘から先に爪と呼ぶにふさわしい、黒く鋭利な“何か”が装着される。いや、正しくは同化といったほうがいいだろう。
 これこそ彼に付与された再生能力の真の意味であり、防御として普段使用している部分はオマケ程度でしかない。
 光と闇の狭間に堕ちた名も無きモノ……その正体は神か悪魔か、それとも精霊や全く別の存在なのかは伊吹自身わからなかったし、クロセルさえも把握していないのかふれることはなかった。
 とにかく、それらを召喚し自らの体を侵食させるものの、不要な部分はエクソシストの能力で抑制するという極めて不安定なバランスの上に成り立っている能力である。クロセルが伊吹を実験体にしてこれに成功したときの喜び様は尋常ではなかったが、名も無きモノへの関心はゼロだったらしく、以後調査することはなかった。
 その後、双葉たちの研究に移ったことを考えると、実験成功にではなく材料収集役を得た喜びだったのかもしれない。

 跳ねるようにシズナの正面へ距離をつめると、巨大な爪と化した右腕を繰り出す伊吹。怪力によるものか威力やサイズを無視したものか、とにかく物理学者が血相を変えて否定するであろう一撃がシズナへ迫る。
 しかし、一瞬の準備時間は極めて公平にシズナへも与えられていた訳で、足元より竜巻のように黒い風が轟音と共に巻き起こり主を守ろうと取り囲んだ。
 鳴り響く独特な重低音。
 闇の風を切り裂くその音は、続けざまに命中したことを知らせる衝撃音を奏でることに成功する。

「ぐぅっ!」

 自らの防御風壁を突き破り吹き飛んでいくシズナだが、地面に叩きつけられる直前で重力に逆らった動きをするのは、風の力を利用しているためだろう。
 直接受ければ吹き飛ぶこともなく、灰となり消し飛んでいたかもしれない……。
 右手で悲鳴をあげているわき腹を押さえ、出合ったことのないエクソシストの攻撃に苦笑する。それと同時に、一撃を浴びたこと、劣勢に見える状況に負けず嫌いなシズナの怒りはアッサリと頂点に達した。
 どんなヤツだろうが、どんな能力だろうがもうどうだっていい!弾き飛ばされたことで立て直す距離と時間は十分ある。次で消し去ってやるから覚悟を……。
 シズナ作「激昂シズナの大反撃クラッシュ作戦」の立案は、そこまでで中断されることになる。
 初撃で仕留められなかった標的を自由にさせるほど二人は甘くなく、余裕をもってチャージしておいた双葉の体より大きい魔法陣から撃ち出された青い閃光が、すぐそこまで迫っていたからである。
 忌々しそうに歯を食いしばり、扇子をもった右手を振って黒風を撃ち出しかき消そうとするシズナ。直線の青い閃光が弧を描く黒い風と衝突し、押しあう姿は幻想的な光景を繰り広げていたが、黒髪のお団子ヴァンパイアにとっては面白くない光景以外の何物でもなかった。

「このっ、でか魔力がっ……」

 滑るように風の力を利用して回避すると防ぐ役目を終えた黒風は解除され、解き放たれた青い閃光は閉じる役目の居なくなった玄関より大きな入り口を、屋敷の全く別の部分に豪快な破壊音を響かせながら誕生させた。

テーマ : 自作小説(ファンタジー) - ジャンル : 小説・文学
この記事へのコメント
いよいよ戦闘の激しさが増してきましたねっ!!
なんかもう、敵も味方もがんがれー(ぉぃ
いき♂ | URL | 2008/04/02/Wed 11:54 [EDIT]
伊吹・・・
やばい・・・惚れた(*´-`*)
影の薄い(←超失礼)キャラだと思ってたのに、
ここにきてやられました!カッコイー♪
兎和神ばんざい!
しゃちっ子 | URL | 2008/04/04/Fri 20:03 [EDIT]
>いき♂サマ
どっちもがんばれー!
基本的(例外ありますがっ)に、どちらが悪者でどちらが正義のヒーローみたいな区切りはつけてないつもりなんですよー。誰だって理想や実現したいことはあって、その食い違いってことを上手く表現できればいいなーと。
今回の作品はあくまで双葉側から見た作品って感じですね♪

>しゃちっ子サマ
実際薄かったですね!
作品としては主人公一直線であるべきだと思うのですが、様々な角度から光をあててあげたいなーとも思うのでっ><
ほら、一瞬だけ登場するキャラクターでも主人公と同じように悩んだり、生活したり何かしら行動してるだろうから(笑)
これが駄作に繋がるのですねー、きっとヾ(* 'ヮ')ノシ
兎和 | URL | 2008/04/05/Sat 01:21 [EDIT]
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