GONG鳴らせ!!
彼らは彼らであって彼らではない。
何だ、この出来の悪いなぞなぞは……と、リスドールは心の中で苦笑する。それと同時に趣味の悪い夢なら覚めてくれ、そう強く願うのであったが、現実はあらゆる制限を取り払って構築できる悪夢より最悪なようだ。かつては共に戦った仲間が自分の命を狙い、肉体を喰らおうと襲い掛かってくるのだから。それも変わり果てた姿で……。
そんな姿になっても体が覚えているのだろうか、リースとコーエンはどちらも得意としていたナイフを握り締め、以前と変わらぬスピードで一度も刃を向けたことのなかった元上官の体を切り裂こうと止め処なく攻撃をしかけていた。それに対してリスドールは攻撃しようとはせず、防戦一方であった。
部下であったからこそ、けじめは自分がつけなくてはならない。
そう思う自分自身の声をかき消すように「そんなことはわかってる!」と、同じ声が怒鳴る。
しかしどうしても家族のように慕ってきていた顔がちらつき、攻撃することを躊躇ってしまうのであった。そもそもここまで苦しまず、感情を押し殺し平気で動く屍となった元部下を始末できるならばこんな作戦はとらなかったであろう。彼女の性格をよく理解し、効果的に利用できる人物の考えに間違いないのは明白であり、それは双葉たちの行動も把握しているといった情報漏洩にもつながる。
ということはレクラムに味方する裏切者が内部にいる、それがリスドールの出した結論であった。
だからといって当然現状が好転する訳でもなく、その裏切者の思惑通り手が出せない窮地なことには変わりない。戦意は悲痛という強力な伏兵によって蹴散らされ、今はもう考えることさえしていないだろうコーエンのナイフをかわしながら、そのたれ目がちな茶色の瞳に悲しみの光を灯し、いつも注意していた攻撃時の隙をまるで懐かしい写真でも見るかのように重ねる。そんな彼女の動きは明らかに精彩を欠き、時間が経つにつれナイフとの距離が縮まってきていた。
何度目になるだろう、本来向けられるはずのないナイフをかわしたとき、鋭い痛みと共にリスドールの体が引き戻される。空中になびく茶色の長い髪を掴まれ、一気に引き寄せられたのである。視界が急角度で回転し、地面を映したかと思えば編集を間違った映画のように次は暗い夜空が全面に広がった。
背中から地面に叩きつけられたのだと理解したときには、馬乗りになるコーエンとその脇から覗き込むリースがそれぞれナイフを振り下ろそうと生気のない顔でリスドールを見下ろしていた。
「ダメな上官でごめん……」
迫るナイフを見ようともせず、二人の顔を見つめポツリと震えた声で言う。
体の痛みも、夜の寒さも、周囲の音も全てどこかへいってしまった。そして自然と出た言葉。ほんの僅かな与えられた時間で、表しきれない感情をこれでもかと詰め込めた気がする。
違うでしょ。
そうじゃない。
もっと声を聴いて。
頭の中に優しく、それでいて厳しい聞き慣れた声が響く。無条件で心が安らぐ、いつも隣にいたその声。それと同時に、リスドールの体へ降り注ぐようにキラキラと舞う紫の光。
彼女は知っている。いや、知らないはずはなかった。
このナイフを受け止めた輝く紫の光を。
「ウィス!!」
とっさに上半身を起こし、とてもそんな余裕のないであろうウィステリアの姿を探す。
まず最初に飛び込んできたのは右腕のないレクラムの姿だった。
そしてこちらへと弾け飛び、宙を舞うウィステリア。
スローモーションのようにゆっくりと時が流れ、リスドールの鼓動だけが静かに音を奏でる世界。結んでいた銀色の髪は左側が服と共に切断され、全身から力の抜けたウィステリアの周りを羽のように揺らめき、使った覚えのない胸元を彩る赤い色は、致命傷とも思える傷口の位置を誇示するかのようだった。
いつものように自分を見つめる赤い瞳は優しい光を帯び、その表情は少し微笑んでいるようにも見えた。
レクラムの放つ斬撃を防ごうともせずリスドールを守った、それは彼女にとって何でもない当たり前のことなのだから。
駄文だなぁと痛感している兎和に活を
テーマ : 自作小説(ファンタジー) - ジャンル : 小説・文学
彼らは彼らであって彼らではない。
何だ、この出来の悪いなぞなぞは……と、リスドールは心の中で苦笑する。それと同時に趣味の悪い夢なら覚めてくれ、そう強く願うのであったが、現実はあらゆる制限を取り払って構築できる悪夢より最悪なようだ。かつては共に戦った仲間が自分の命を狙い、肉体を喰らおうと襲い掛かってくるのだから。それも変わり果てた姿で……。
そんな姿になっても体が覚えているのだろうか、リースとコーエンはどちらも得意としていたナイフを握り締め、以前と変わらぬスピードで一度も刃を向けたことのなかった元上官の体を切り裂こうと止め処なく攻撃をしかけていた。それに対してリスドールは攻撃しようとはせず、防戦一方であった。
部下であったからこそ、けじめは自分がつけなくてはならない。
そう思う自分自身の声をかき消すように「そんなことはわかってる!」と、同じ声が怒鳴る。
しかしどうしても家族のように慕ってきていた顔がちらつき、攻撃することを躊躇ってしまうのであった。そもそもここまで苦しまず、感情を押し殺し平気で動く屍となった元部下を始末できるならばこんな作戦はとらなかったであろう。彼女の性格をよく理解し、効果的に利用できる人物の考えに間違いないのは明白であり、それは双葉たちの行動も把握しているといった情報漏洩にもつながる。
ということはレクラムに味方する裏切者が内部にいる、それがリスドールの出した結論であった。
だからといって当然現状が好転する訳でもなく、その裏切者の思惑通り手が出せない窮地なことには変わりない。戦意は悲痛という強力な伏兵によって蹴散らされ、今はもう考えることさえしていないだろうコーエンのナイフをかわしながら、そのたれ目がちな茶色の瞳に悲しみの光を灯し、いつも注意していた攻撃時の隙をまるで懐かしい写真でも見るかのように重ねる。そんな彼女の動きは明らかに精彩を欠き、時間が経つにつれナイフとの距離が縮まってきていた。
何度目になるだろう、本来向けられるはずのないナイフをかわしたとき、鋭い痛みと共にリスドールの体が引き戻される。空中になびく茶色の長い髪を掴まれ、一気に引き寄せられたのである。視界が急角度で回転し、地面を映したかと思えば編集を間違った映画のように次は暗い夜空が全面に広がった。
背中から地面に叩きつけられたのだと理解したときには、馬乗りになるコーエンとその脇から覗き込むリースがそれぞれナイフを振り下ろそうと生気のない顔でリスドールを見下ろしていた。
「ダメな上官でごめん……」
迫るナイフを見ようともせず、二人の顔を見つめポツリと震えた声で言う。
体の痛みも、夜の寒さも、周囲の音も全てどこかへいってしまった。そして自然と出た言葉。ほんの僅かな与えられた時間で、表しきれない感情をこれでもかと詰め込めた気がする。
違うでしょ。
そうじゃない。
もっと声を聴いて。
頭の中に優しく、それでいて厳しい聞き慣れた声が響く。無条件で心が安らぐ、いつも隣にいたその声。それと同時に、リスドールの体へ降り注ぐようにキラキラと舞う紫の光。
彼女は知っている。いや、知らないはずはなかった。
このナイフを受け止めた輝く紫の光を。
「ウィス!!」
とっさに上半身を起こし、とてもそんな余裕のないであろうウィステリアの姿を探す。
まず最初に飛び込んできたのは右腕のないレクラムの姿だった。
そしてこちらへと弾け飛び、宙を舞うウィステリア。
スローモーションのようにゆっくりと時が流れ、リスドールの鼓動だけが静かに音を奏でる世界。結んでいた銀色の髪は左側が服と共に切断され、全身から力の抜けたウィステリアの周りを羽のように揺らめき、使った覚えのない胸元を彩る赤い色は、致命傷とも思える傷口の位置を誇示するかのようだった。
いつものように自分を見つめる赤い瞳は優しい光を帯び、その表情は少し微笑んでいるようにも見えた。
レクラムの放つ斬撃を防ごうともせずリスドールを守った、それは彼女にとって何でもない当たり前のことなのだから。
駄文だなぁと痛感している兎和に活を
テーマ : 自作小説(ファンタジー) - ジャンル : 小説・文学
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どうなっちゃうの〜・・・。
(´;ω;`)ブワッ
>しゃちこサマ
何だかすっごい人気のあるウィステリアは!
このまま続きといきたいんですが、肩凝りがー。←だいぶ良くなったと思った矢先に再発(泣)
しかしこの巧みな文章遣い。マジでどうしたら会得できるんですか!!?
同じ物書きとして羨ましいやら妬ましいやら、もう尊敬してますよ。
毎日少しずつですが、こうやって読み進めているので兎和さんも玖堂に追いつかれないように頑張ってくださいね(笑)
追いついたら追いついたで待つのもツライような気もするので!(笑)←とことんワガママですいません。
尊敬なんて勿体ない!!本当にダメダメだなぁと思うことが多いのです><
期待してもらえるのはすっごく嬉しいですよー♪
何だか超スランプ状態なので、もう少しお待ちをっ(笑)