10:聖少女

足跡ばかりでコメント残せてないミナサマ、本当にごめんなさいっ。
うまいなーとか、おもしろいなーとか常に思っているんだけど、うまくコメントできなくて挫折すること多い(涙)
がっつり応援させていただいてますので、努力いたしまするっ。

では、本編をどうぞー。



 ベルセネ大聖堂──その建物の正式名称であり、風格のある壮大で美しい姿は建築物としての価値も素晴らしいものであった。目に見えぬ権威やそれらに類するものは、こういった形で視覚化され具現化される。それほど建築技術やデザインが優れているということだが、製作者にとってはどうでもよいことが他人からすれば一番重要であるという不思議な現象ではないだろうか。
 つまりは、ゴスロリブランド“エトワール=ピリカ”のデザインが自分の体型に合っているため、幼児体型のまま成長しない体でよかったと引きつった笑いを浮かべている双葉だとか、リスドールがメイド服を作成するにあたってセットで作ってみた白いフリル付きのカチューシャが、ウィステリアにすれば着てもいいという決め手だったりとかほら、身近にもいっぱい。

 そんな考察はさておき、この大聖堂に常駐している人物、そしてリスドールの報告相手であり帝国祓魔座の幹部を兼ねるのがアンテス司教である。元々、ここは彼の兄が常駐していた場所であるが体調不良を理由に交代し、52歳という年齢だが今はここで隠居同然の生活を送っているらしい。帝国祓魔座の組織員ではなかったためリスドールも面識はなく、度々訪問するようになってから今日まで一度もお目にかかったことがないので病状が思わしくないのかもしれない。
 温厚な兄とは対照的に、弟であるアンテス司教は冷淡ともとれる発言の目立つ人物であった。それがむしろ帝国祓魔座としては“適正な判断”のできる人物として評価されている訳であったのだが、彼人のような存在を容認していることもあり、リスドールにとって理解を得がたい上司であることは間違いなかった。

 二人が聖堂内で何重にもコーティングされた会話をしている頃、車内では双葉がリスドールにもらった小さめのメモ帳に独特のディフォルメされたタッチでウィステリアのイラストを描いていた。そのメモ帳の前半は達筆なリスドールの字でびっしりと書き込まれていたが、本人曰く「書いたっきり見たことがないので、もうやめた」のだそうだ。
 あまりに間を持て余していたので伊吹を数回つっついてはみたのだったが、そんなもので起きないことはあらかじめ予想済みであり、予定通り好きなイラストを描くことに早々と方針を変更したのである。
 ほぼ完成というところに差し掛かったとき、ふいにドアをコンコンとノックする音がして双葉の手が止まる。窓から外を覗いてみると10〜11歳だろうか、長い金髪で白いドレスのような服を着た少女が一人、ポツンと立っていた。ドアを開け車から降りた双葉は、ヘイゼルの大きな瞳でじっと自分を見つめている少女に話しかける。

「どうした? ここに住んでいる子供か? こんな時間に一人なのか?」
「私は、夏耶(かや)っていいますっ。お姉さんのお名前はっ?」
「むっ、双葉っていうのだ。それでこんなことで何を……」
「ふむふむっ」

 マイペースというか双葉の話を全く聞いてないというか、悪気があってそうしている訳でないのは真剣そうな表情からも十分に伝わってくるのであったが。独特のほわっとした空気を持っていることは確実のようだ。

「それでですねっ、双葉さんは人形は好きですかっ?」
「人形よりぬいぐるみのほうが好きだな。ちかべいというとんでもなく愛くるしいマスコットが……」
「そうですかっ。夏耶はいい人形さんは好きですけど、悪い人形さんは嫌いですっ。一緒に踊ったりお絵かきして遊んでくれたりするお人形さんがいいですねっ」
「あ、まだ時間ありそうだから夏耶の絵を描いてみるか。うん、いい考えなのだ」

 諦めたようにそう言うと側にある石の階段に座り、サラサラと描きはじめる双葉。しかし効果があったようで、嬉しそうに目を星が飛んできそうなくらいキラキラと輝かせながら双葉を見つめている。
 双葉は描いているうちに思ったことがあった。それは、夏耶が自分にどことなく似ているなという、奇妙な感覚である。もちろん、そっくりという訳ではない。夏耶はつり目ではないし、目の色も違う。ただ長い金髪や輪郭など本当に大まかな部分、姉妹みたいだと言えばしっくりくるであろうか、そんな感じであった。

「よしっ、完成! こんなので気に入ってもらえればいいが」
「ふぉぉぉぉ、上手っ! これは家にある何の絵だかわかんないのに飾ってある大きいのより凄いですっ! ありがとうございますっ、もらってもいいですかっ!」
「そ、そうか。あははー、そんなに褒められると嬉しいなっ。プレゼントするつもりで描いたんだし、もちろんいいぞ」

 もらった自分のイラストを両手で高々と掲げ、何やら喜びの舞を披露する夏耶。ほとんど他人にイラストを見せたりすることのなかった双葉は、思わず顔が緩んでしまうくらいそれが嬉しかった。

「何を騒いでるのかと思ったら、夏耶お嬢様と遊んでたのね。こんばんは、夏耶お嬢様」

 やっと解放されたリスドール達がコツコツと石の階段を鳴らしながら降りてきて、笑顔で挨拶をする。右手の甲が少し赤くなっているのは、我慢した怒りを帰りがけに不幸ながら選ばれてしまった柱に向けて放出したためであり、ウィステリアは恒例となっているそれを見て、今日は血が出なくてよかったとコッソリ思っているのであった。



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テーマ : 自作小説(ファンタジー) - ジャンル : 小説・文学
この記事へのコメント
しらない間に3話ほど進んでいました(^^;
拝読しました。
私、リスドール様めっちゃタイプですw
いき♂ | URL | 2008/02/13/Wed 12:25 [EDIT]
とんでもないところで切っちゃったりして、妙に加速しますからっ(汗)
愛すべきキャラクターを好きになっていただけると本当に嬉しいですね♪魅力のあるキャラクターを輝かせるようにがんばりまっす!
兎和 | URL | 2008/02/13/Wed 19:48 [EDIT]
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